糖尿病の検査

血糖検査・HbA1c迅速検査

HbA1cは1〜2ヶ月間の血糖の平均点であり、糖尿病のコントロールの指標として大変重要です。当院では、アークレイのADAMS A1c LITE HA8380という器械を使って、HbA1cの結果がその場ですぐにわかります。指先からほんのわずかな血液(20マイクロリットル)で検査をします。ほとんど痛みはありません。

糖尿病合併症(最小血管障害)の検査

糖尿病合併症(最小血管障害)の検査

網膜症:無散瞳眼底カメラで眼底写真を撮り、網膜の出血やしみがないかを調べます。瞳孔(ひとみ)を開かないで検査しますので、車の運転などの生活に支障はありません。ただし、網膜のすべての範囲が見えるわけではないので、必要に応じて精密な眼底検査を眼科で受けられることをお奨めしております。

眼底写真

眼底検査:網膜に出血やしみが見えます。このような所見のあった方は直ちに眼科医に紹介いたします。造影剤を使った検査(蛍光眼底造影)が必要です。

目の合併症 第14回糖尿病教室
腎症 微量アルブミン尿検査がもっとも早期の腎障害を知る検査です。血液では尿素窒素、クレアチニンで腎臓の機能を調べます。
糖尿病性腎症 第15回糖尿病教室
神経症 アキレス腱反射、振動覚検査、モロフィラメントなどで神経障害の程度を診断します。また、心電図で心拍数の呼吸による変化をみることにより、自律神経障害の程度がわかります(CVR-R、150点)。
糖尿病性神経障害 第12回糖尿病教室
糖尿病足病変 第17回糖尿病教室

動脈硬化(大血管障害)の検査

頚動脈エコー 頚の動脈を超音波で観察し、動脈の太さ、動脈の壁の厚さ(IMT)、血流速度を測定し、動脈の壁の血栓(プラーク)の有無をチェックすることによって、動脈硬化の程度を調べます(350点)。
血圧脈波検査(PWV/ABI) 両腕と両足の血圧を測る検査で血管の硬さや詰まりの程度がわかります。5分程度で終わります(130点)。

脈波検査

糖尿病は血管病です

糖尿病は血管病です

糖尿病では、比較的細い血管が障害されて起こる腎症や網膜症、神経障害などの合併症(細小血管障害といいます)と、大きな血管がつまることによって脳梗塞、心筋梗塞などの合併症(大血管障害)があります。全身をくまなく巡っている血管が動脈硬化を起こしているかを直接みることはできませんが、近年、いろいろな方法で動脈硬化を調べられるようになりました。

このフォルムという器械は、ABIとPWVという二つの指標を同時に測定することによって、大きな血管の状態を把握することができます。実際の測定にかかる時間は5-10分で痛みなどの苦痛はほとんどありません。

1)ABI
(足関節/上腕血圧比)

両手、両足首の4ヶ所の血圧を同時に測って、糖尿病に合併しやすい閉塞性動脈硬化症(ASO)を診断する検査です。この病気は、足を養っている動脈が動脈硬化によって狭くなるため、足が冷たくなったりしびれたりする血流障害が生じます。閉塞性動脈硬化症では、しばらく歩くと足が痛くなり、立ち止まるとよくなるという「間歇性かんけつせい跛行はこう」が特徴的です。進行すると足の壊疽えそを起こして足の切断に至ることもあります。

この検査は、閉塞性動脈硬化症の自覚症状が出現する前に病気を早期に発見できます。足首の血圧/腕の血圧の比が0.9以下であれば足の血管が詰まっている可能性があります。

2)PWV
(脈波伝播速度)

心臓から押し出された血液の脈波は、血管が硬いほど速く伝わるという原理を利用して、大動脈の硬さを判定する方法です。この数値が高いと、狭心症・心筋梗塞と強い相関があるといわれています。また、脳梗塞を起こした糖尿病患者ではこの数値が高い傾向があります。したがって、この検査で心筋梗塞や脳梗塞などの起こりやすさを知ることができます。PWVの数値が高いほど血管は硬くなっており、脳梗塞、心筋梗塞を起こしやすくなります。PWVの基準値は1400 cm/秒以下であり、1000-1400の方は注意が必要です。

動脈硬化の検査 第11回糖尿病教室
冬のフットケア 第17回糖尿病教室