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糖尿病の合併症(2)網膜症
第14回糖尿病教室:糖尿病の合併症(2)
-眼の合併症ー 網膜症だけではなく、白内障や緑内障にも気をつけましょう。
1) 糖尿病では、カメラでいうとフィルムに相当する網膜が障害される網膜症が有名ですが、レンズに相当する水晶体(レンズともいいます)が濁る白内障も見られます。また、年齢とともに緑内障も増えてきます。
2) 糖尿病網膜症は、後天的な視覚障害の原因の18..3%を占めて第一位で、毎年約3,000人の方が新たに視覚障害を発症しています。
3) 糖尿病になって15年経過すると、約半数の方でなんらかの網膜症を発症します。そのうちの20-25%の方は、増殖前網膜症や増殖網膜症など重症のタイプです。
4) 網膜症は、相当進行しないと症状はありません。というのは、人間は網膜の中心にある「黄斑」という狭い場所でしか物を見ていないからです。黄斑をはずれたところに出血があったり、血管が詰まって網膜の細胞が壊れたりしても気がつきません。ですから、糖尿病の患者さんは、症状が無くても定期的に眼底検査を受ける必要があります。網膜症の無い方でも1年に1回、網膜症のある方では3-6ヶ月に1回程度、眼科医の指示に従って眼底検査をしましょう。
5) 眼底の血管が詰まった場合や、出血しそうなもろい血管(新生血管)が見られる場合には、レーザー治療をしますが、これで視力が回復するわけではありません。レーザー治療は、出血しそうな血管や、血管が詰まって酸素不足に陥った細胞を焼いてしまう治療法です。つまり、眼底出血・硝子体出血や網膜はく離など、失明につながる病気を予防する治療なので、治療後に元の視力より低下することもあります。
6) 網膜症のある方で血糖を急激に低下させると、網膜症が悪化する危険性があります。網膜症が認められた場合には、1ヶ月でHbA1cを0.5〜1%くらいの割合でゆっくり下げましょう。
7) 白内障はレンズが濁る病気で、ものがかすんで見えたり、明るいところでまぶしく感じたり、近くが見えやすくなったりします。糖尿病ではレンズの中心(核)から濁るので、早くから視力が低下します。一方、老人性白内障では、周りから濁ります。
8) 白内障で視力が低下すれば、濁ったレンズを取り出して、そこに人工のレンズを入れる手術をします。最近では、手術法が進歩したため、血糖コントロールが多少悪くても手術可能です。
9) 緑内障は、眼の神経(視神経)が障害されて視野が狭くなる病気です。糖尿病とは直接の関連はありませんが、年齢とともに増加する病気なので注意が必要です。網膜症の末期には、血管新生緑内障といって、失明につながる病気もあります。
10) 緑内障の初期には、目の中心をややはずれたところに暗点(見えない点)ができますが、症状はありません。中期になるとこの暗点が拡大しますが、片方の目で補われるため異常に気がつきません。視野がさらに狭くなってほとんど見えなくなって初めて気がつきますが、一度障害された視神経は回復しないので、初期の段階で見つけることが大事です。
11) 緑内障の診断:緑内障では、房水の流れが悪くなって眼圧が上昇するので、眼圧が上昇していれば(正常範囲:10~21 mmHg)緑内障と診断できます。しかし、緑内障患者の6割では眼圧は正常範囲といわれていますから、眼圧検査だけではなく視野検査も受ける必要があります。
12) 糖尿病では、HbA1cを6.5%以下にコントロールして網膜症を予防しましょう。症状が無くても、定期的に眼底検査、眼圧検査、視野検査などを受けてください。
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